【幽霊騒ぎとはこんなもの】
読者の方より、以下のメールをいただきました。
▼読者の方からのメール
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大槻先生
初めてお便りします。
私は米国系大手コンピューター会社に勤めております。
文系出身ですが、エンジニアをしております。
以前、出張の際によく利用していたホテルがあります。
当時、このホテルは会社と提携しており、いろいろな特典もあったため、よく利用していたのですが、同僚にそこに宿泊していることを告げると、何故か怪訝な表情をされるという経験を何度かしました。
特に気にもしていなかったのですが、ある時、「あのホテルは幽霊が出る。会社の人間は誰も泊まらない。自分も泊まらない。お前は知らないのか」と言われました。
皆が知っていることを知らなかった自分の人脈の無さには呆れましたが、阿呆らしいと一蹴し、気にも留めていませんでした。
その後、やはりそのホテルに宿泊し、夜、風呂上りにベッドに座って、一息ついていた時のことです。
一瞬、目の端を白いものが横切ったのです。
目を向けると、そこにはカーテンを開け放った窓があるだけです。
外は暗闇です。
偉そうなことを言っておきながら、正直なところ、ゾッとしました。
脳の自然な防御反応なのだから仕方がないと言い訳したいところですが、まだまだ科学的・論理的な思考ができていない証拠でしょう。
気を取り直して、窓に近寄って外を見てみました。
部屋はホテルの上層階にあり、川に面しています。
川の向こうには街の灯りが見えますが、付近は暗闇です。
ベッドに座った位置からは何も見えないはずです。
窓には部屋の灯りが反射していますが、部屋の中には自分自身も含め、動く白い物体などはありません。
窓から外を暫く見ていましたが、何も見えないので、ベッドに戻り、そこから窓を観察することにしました。
30分ほど経ったでしょうか、また、白いものが横切りました。
今だと思い、急いで窓に駆け寄りました。
外を白いものが浮遊していました。はらはらと落ちていく感じです。
よく見ると、それは手のひらのサイズはありそうな大きな白い蛾でした。
文字通り、バグ(虫、コンピューター用語で不具合の意)を見つけて、自分の脳のデバッグ(除虫、不具合除去)をしたという次第です。
脳も先入観や偏見などというバグにより、科学的・論理的な思考ができなくなることがありますので、コンピューターのようにデバッグしてやる必要があるようです。
以下は、わたしの仮説です。
ホテルが上得意客に川に面した上層階のよい部屋を用意する。
→ 宿泊客は窓のカーテンを開ける
→ 外から覗かれる心配はない
→ カーテンを開けたままにする
→ 夜になる
→ 窓からの灯りが川原の蛾の注意を引く
→ 上層階の窓まで少数の蛾が辿り着く
→ 白い蛾を宿泊客の目が捉える
→ 窓の外を見に行く
→ 外は真っ暗で何もない
→ あれは一体何だろう?
→ 暗闇に出る白いもの?
→ 幽霊に違いない!
→ カーテンを慌てて閉める
→ 布団に潜り込みそれ以上は追求しない
→ 幽霊話がまた一つ増える
そのホテルに宿泊して幽霊を見たという人に会ったことがないので、あくまで仮説です。
いずれにしても、米国系大企業に勤めているというと、英語を話し、科学的・論理的な思考をするまっとうな社会人ばかりが働いていると思われるかもしれませんが、実はそうでもないという話でした。
以上、失礼致します。
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▼大槻からの回答
まさに幽霊話はこんなものです。
大事なのは目撃者をウソとか夢話と決め付けないことですね。決め付けないで、原因は何かを検証する科学的な姿勢です。このとき、側に誰か立会いがおれば、それに越したことはありません。
いずれにしても、あなたが幽霊など信じず、しかも科学的・合理的な態度で究明に挑んだことは大事なことです。
何によらず、このような生活態度こそ21世紀を生き抜く原動力になるでしょう。
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