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2008年11月20日 (木)

11月 第4回 【複雑系の誤解】

読者の方から、以下のようなメールをいただきました。

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はじめまして。
小さいときから大槻先生著作を読んで友達とUFOがあるかなど(水掛ですが)議論していました。
先生の11月10日のブログに出てこられた内田樹氏の発言にはびっくりでしたし、あそこにリンクで載っている内田氏のブログも難解でした。最初に、「ノーベル賞の数を目標にすべきでない」という引用がきて、そこからの文章の論理的なつながりが見えませんでした。私の能力が低いからでしょうか・・・。
内田氏はたしか、フランス現代思想で構造主義とかを研究されていたと思います。あの発言に対し、フランス現代思想に大いなる警鐘をならした「ソーカル事件」を思い出しました。
最近思うのですが、スピリチュアルなど見えすいた嘘・ハッタリよりも科学のような振りをした「疑似科学」のほうが危険な気がすごくします。
特に近年は「複雑系」という言葉がかなり独り歩きし始めている気がします。
「これは、複雑系なのだ。だからよく分からないことも起きるんだ。」
と言われると、理系の大学生でも反論できないと思います。(文系の人間ならもっと答えられません。)
大槻先生は、この「複雑系」というキーワードについて、どうお考えですか?
あと、竹内薫氏の「99%仮説」の著作の中で、飛行機が飛ぶ理論は分かっていないとも取れる(一般的に説明されている説が間違っていたとしても)あのような書き方にはすごく違和感をおぼえました。
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▼大槻からのお答え

メールをいただき、ありがとうございました。
『複雑系』は一般に使われるときには、誤解が生じますね。特に『不可知論』と結びつき、『多くの自然現象・社会現象は複雑系で科学的な理解が困難なんだ。だから、すべて科学で解明はできない。』という非科学的な論法に結びつくわけです。

実際には現代の物理学で、複雑系の研究は急速に発展してしています。つまり、複雑系でもそこには自然の法則・自然の論理が明確になっております。
今や、『複雑系だから不可知』という論理は幼稚すぎるのです。

例えば、川の流れの中に発生する渦があります。
『かつ消え、かつ結びて、とどまることなし』と記述したのは、方丈記でしたか。
この不規則、複雑な現象、とても物理学では解明困難と思われていました。しかし、現代物理学は、この複雑系も解明しました。
渦の発生の個数と水の流速の関係、渦の持続時間と流速の関係、さらに渦度と持続時間の関係などが明らかになりました。

『複雑系があるから自然は不可知だ』
という論理は、通用しません。
複雑系は、どんなに複雑でも理性で理解できる時代が来つつあります。

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