2月 第5回 【絆創膏で燃費向上?】
ガソリン高でヒットしているのが燃費向上グッズです。
エンジン付近に電線をつないだり、燃料タンクに入れたりするだけで燃費が5%~30%も向上するのだというのです。
なかには、エンジンのキャブレーター付近に貼り付けただけで燃費が格段に向上するものさえあるのです。
例のマイナスイオンも利用されています。エンジンオイルに入れるとマイナスイオンの効果で燃費が良くなるのだそうです。
2008年2月9日付け朝日新聞によれば、公正取引委員会はこれら16商品に対し、
『合理的根拠がない。』
として排除命令を出したのでした。
これは当然のことですが、対応があまりに遅いのです。私は既に4年ほど前から、
「これらカー用品は、オカルトもどきグッズである。」
と指摘しておりました。
例えば私の当時のエッセイ『反オカルト講座』(ダカーポ)で批判しましたとおりです。
しかし、公正取引委員会も警察もこれまでまったくの野放しだったのです。その間、どれだけの人が騙されて購入してしまったか・・・。これら公的機関が動かなくとも、当の朝日新聞はどうしたのでしょうか?
今頃になって公的機関が排除命令を出したからとて、急にこれら詐欺商品を叩いていますが、あまりに遅いです。
ジャーナリズムが、『社会の進歩に責任がある。』と自負しているなら、なぜ遅すぎる国家機関をリードするような言論活動ができないのか。これは『江原今様イタコ』の問題でもまったく同じです。
私がこの種のグッズに関心を持ったのは、九州地方の企業から、そこで開発・販売を始めたという『燃費向上機器』をいただいたからでした。
これには、訳の分からない物理の理論が根拠として書かれていました。そこで調べてみると、あるわあるわ、とんでもないグッズが野放しでした。
エンジン付近に貼る絆創膏はもちろん、セラミック鉱石・磁石、マイナスイオンなどなど。ここには、カー用品だけあって科学用語・物理化学用語が多用されていて、これで騙されやすくなっています。
同朝日新聞には、物理学者、大阪大学の菊地誠さんの談話が載っていました。
これらの商品は、
「科学的に全く無意味な表記。消費者は、商品の効果を科学的に確認する術がない。」と。
この談話の前半は、まったくそのとおり。しかし、後半は少しおかしいでしょう。
消費者だけでなく、物理や化学の専門家であってもこんなインチキグッズでも本格的に検証しようとすれば、研究費とスタッフと数年の年月が必要となります。商品のうたっている効果を確認するのは容易ではありません。
それでは、お手上げでしょうか?
そうではりません。そこは科学的常識があるのです。エンジンの側に磁石を貼り付け、燃焼効率が上がるわけはないし、マイナスイオングッズならそもそも燃焼室でマイナスイオンの役割などまったくないからです。
それでも一般の消費者は、菊地さんの言うとおり、確認する術がないのでしょうか。それは違います。ごく一般の人でも社会生活上の常識があるのです。
「そんなに燃費が向上するのなら、自動車製造会社そのものが、その技術を取り入れるはずではないか。」
と思うはずです。
何しろ各自動車メーカーは燃費の向上にしのぎを削っているのです。
5%の燃費向上に各社の技術陣がどれだけ努力しているか。
また少し慎重な消費者は、自分の乗っている車のユーザーサービスセンターに電話して、
「こんな燃費向上グッズを薦められているのだが、効果はあるのだろうか?」
と聞くはずなのです。
結論を言いましょう。
公的機関もメディアもこの種の『インチキオカルトもどき』を長年野放しにしてきたのです。しかし、それでも賢い消費者は「こんなのインチキだ。」と判断してきたのです。
菊地さんの言うように消費者は確認する術がないのではなく、市民感覚・市民常識でニセものを判断できるのです。
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