2月 第2回 【『急げ、理系への道』4月出版】
前にも書いたと思いますが、私の『オカルト非難』でもなく『ゴルフ馬鹿』でもない、まじめな新刊『急げ、理系への道』(NHK出版)が4月発売と決まりました。
この本は、本当にまじめに書きました。
それなら他のオカルト本・ゴルフ本はまじめでなかったのか?
そのとおりです。まじめでなんか書けません。オカルトを批判するなどまじめにできますか?
霊を呼び出し、その霊と語りあい、体からオーラという光が出て、その上体からエクトプラズマなる煙が出る、などという馬鹿をまじめに批判などできますか。
すべての科学者や教育者も同じです。だから同僚の物理学者など私がオカルト批判に立ち上がるたび、せせら笑い、
「あんなのにかまけて貴重な時間を潰している。よせ、よせ!」
と忠告してくれるのです。
「馬鹿にかまけては、お前も馬鹿の同列に見られるよ。」と。
ごもっとも、ごもっとも。誰が恐山のイタコの口寄せを、まじめに批判する科学者がいるものですか。
だから私のかつての『宜保愛子の謎』も今度の『江原今様イタコの嘘』(仮題)も、まじめに書いたものではありません。
半ばヤケ気味、半ばからかい、半ば本気。
原稿を書いている最中、腹が立つとつい過激になるし、またおかしくなると笑い転げて執筆を中止してしまう、といった具合でした。
ゴルフの科学はまだ良い方です。これは意外と集中して書くのです。ゴルフ界には力学を無視した、あまりに酷い定説・俗説・教科書が蔓延しているのですからまじめに批判したくなるのは当然です。しかしこれも実はしんどいのです。
私が、
「グリーンでのボールの打ち方はこうするのだ。」
「前上がりの傾斜からボールを打つのはこうすれば良い。」
と書くのですが、これが大恥。
私のゴルフ力学を読んだゴルフプレイヤーは、私のプレーに注目します。
「なんだ、大槻のプレーは!」
「ちっとも自分で言ったとおり打ってないではないか!」
そうなのです。私は自分のすばらしいゴルフ力学どおりにプレーができないのです。つまり、わが大脳は分かっているのですが、いかんせんわが小脳が言うことをきかないので恥をかくのです。だから私のゴルフ科学は、冷や汗モノなのです。
こんなわけで、まじめに私が書ける本は『科学もの』・『教育もの』だけなのです。その意味で今回の『急げ、理系への道』は、まじめな本です。
執筆途中でヤケを起こしたり、笑い転げたり、冷や汗をかいたりせず、終始真顔で努力しました。
しかし、それでも書いたものを振り返ってみると、やはり少々ためらいと侮恨がつきまといます。この本には、
「科学博物館やプラネタリウムなど公的な科学教育施設など理系の子供を育てるのに役に立っていない。」
と書いてしまいました。もちろん、ちゃんとした根拠があってのことなのですが・・・。
私の教え子も各地の科学博物館の館長をやっているのですから、この本では彼らに顔向けができません。
さらに夏休みなどに各地で行われる『科学イベント』・『科学実験イベント』も「役に立たない。」と書いてしまいました。この種の科学イベントには多くの同僚・後輩・教え子が関与しているのですから、これも顔向けできないわけです。それに私自身も夏休みになると、多くのこの種のイベントにお呼ばれして講演をやってきました。
「いまさら、どのツラさげて!」
と、批判されそうです。
しかし、これらの結論に至ったのは、私自身が経験したことから私自身で考え抜き、招き出したものですからどうしようもありません。
こう考えると、まじめな本のつもりでもやはり、“過激”・“言い過ぎ”・“不良”の側面は否定できません。
さて、私はどんな本なら大まじめに執筆できるのでしょうか?
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