2007年2月 第2回
テレビ東京系列番組『時空タイムス』(テレビ大阪制作)から突然電話。
「明日、渋谷に取材ロケに出張ってくれ!」という。
どんな内容のインタビューなのか、さっぱりわからないまま引き受けた。なにしろ前の日なので、私が断ればプロデューサーが困るだろう。
平日だというのに驚いた。人また人の波。スクランブル交差点で信号が青になると、どっと駅からの人垣が揺れて、前後左右の人々と手や肩がぶつかり合う。
数年前の上海の町を思い出した。あまりの人垣に目も眩む思いだった。このアリの大群のような人出が、日本にもあったのだ。
さて、こんな人込みの中で私がインタビューしたのは奇妙な格好をした若い女たちだった。彼女たちは顔を黒く塗りたくり、髪は金髪に染め、指や手は赤や黄色で塗りたくっていた。この異様な女たち、何と寒い歩道の地べたにしゃがんでいたのだった。私は面白くなって声をかけた。
「何やってるの?」
「座ってンの。暇だから。」
そこで私は好奇心のあまり、
「仲間に入れてよ。」と言ってその場にしゃがんだ。
彼女たちはけらけら笑った。彼女たちは私を半分無視して大声でしゃべりまくり、ときどき楽しそうに笑う。
ところが、私には彼女たちの会話がさっぱりわからない。まるで外国語だ。
「チョベリバ」だね。でもお前のは「チョベリグ」だよ。
みなさま、この日本語わかりますか?私は71歳にもなって、日本語が乱れている、とか若い女の子の風俗が気に入らんとか嘆くわけではない。この歳になって50年も年代が違うガキどもの世界などどうでも良い。昔ならとうに自分はこの世からあの世に行っているはずだ。死後にガキが渋谷で何をやろうと関係ない。
このインタビューの2時間、彼女たちと一切の言葉の交流はなかった。それでも楽しかったのはどうしてだろう。
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